届きました。三人会発行「折りひな」
※今回のエントリーは @HOME : 伝承の「折りびな」 の話の続きです。尚、当ブログでは、初代の福音館書店発行の本は「折りびな」。自費出版の三人会発行の本は「折りひな」と区別しております。
遊んで学ぶお父さんへ そして──
私のブログを読んでメールして下さったL.Oさんへ

「三人会」さんにハガキで申込みしてから1週間が過ぎ(参照)、昨日ようやく手元に届きました。あああ…この瞬間をどんなに待ちわびたか!
早速封筒を開けてみると、本と千代紙、そして手紙が入っておりました。手紙には、本来折り紙が10人分(=男雛・女雛・三人官女・五人囃子)セットで付いているのですが、今年の分はすっかり無くなってしまった為、変則的に本とお内裏様セットの折り紙のみとさせて下さいとあり、しかも同封の振込用紙の金額が、定価の半分に訂正されていました。
喜び勇んで本のページを捲ると、まえがきに田中サタさん(1906年、京都生まれ)の言葉がありました。その中に、本書の誕生のいきさつ、おひなさまの歴史、和紙の伝統、男雛・女雛の並べ方などについて書かれていて、その文章の隅々にまで、田中サタさんの「折りひな」を愛する気持ちが伝わってきて、読んでいてじーんとしました。(以下一部引用)
この本ははじめ石井桃子先生のおすすめもあり、私自身も多くの方たちに、このかわいらしいおひなさまを折っていただきたいとの念願から書いたものです。
私はこの折りひなの折り方を、今は故人となられた武藤善邦先生から教えていただきました。先生もまた、折り紙の名手だった故嵯峨千代氏から伝授されたものだとおっしゃっていましたが、創案者は不明だとのことでした。日本の折り紙は、そのほとんどが創案者はわからぬままに代々伝承して折りつがれ、今日に及んでいるものだと思います。
◆ ◆ ◆
男ひな女ひなの並べ方は、我が国では古来左を尊び、したがって男ひなは左女ひなは右に並べるのが正しいと思います。(貴人本位ですから向ってではありません)明治の終り頃まではこのようだったのですが、私の記憶では、大正初期頃になって今日のように並べはじめたと思います。しかし内裏さまの段かざりのもとは、天皇さま皇后さまの紫宸殿で南庭に面しての御着座の模様をまねたものです。左わき(東)が上位 右わき(西)が下位となり、左大臣右大臣 左近の桜右近の橘の位置もこれに準じて定まりました。私個人としては昔通りに並べます。

図と説明文で折り方が丁寧に書かれていますが、正直、私のように実際に人から手ほどきを受けて折った事がある人間には解る部分も、いきなりこれだけを見て折るのではなかなか困難な部分もあります。しかしながら、出来上がりの写真を見ると、その近江雁皮の成子紙工房の手漉きの白紙と、京都永江民芸紙の手染めの和紙で折られた、雅で優美なおひなさまの1つ1つが、またもや私の心を魅了しました。

今朝私は、この折りひなの存在を教えていただいた息子の園の保育者に、早速この本を見せました。そして、先生は懐かしそうにページを捲りながら(但し、表紙は以前保育者が持っていた福音館書店のとは別)、来年の桃の節句は、是非この本の通りに10人飾りを折りましょうという話をしました。そうです。「三月ひなのつき」に登場したあのおひなさまです。
最後にまた田中サタさんのあとがきから一部引用します。
はじめに記しましたように、この折りひなの本は、石井桃子先生のご推奨にあづかり、福音館書店のねんごろな御支援を得て、1969年3月世に出た私の初めての出版物でした。幸い全国の皆々様の御愛好を賜り、年毎に版を重ねること八版に及びましたが、私の病気その他のため数年前から中絶のままになっていました。今ここに再び上梓出来ますことは、ひとえに多くの友の深い友情のおかげと周囲の折りひな愛好家の人達の善意にみちたおたすけの結晶によるものです。心より感謝申し上げて居ります。特にこのたびは、二人の息子の嫁(比文と房枝) にたすけられ協力を得て、嫁姑の共著となりましたことは、老いたる私にあふるるばかりのおめぐみでございます。
また折りひなは、ささやかな手すさびですけれど、これを折るとき、その指先まで、自分の心のぬくもりが伝わります。同時にそれは、おひなさまを愛し、人々を愛する心にもつながります。(上手下手や紙のよしあしは二の次です)
追記:2006-03-09
今回私が採り上げた田中サタさんの「折りびな」ですが、実はもう1つ大変感激したエピソードがありました。
それは、私のブログを読んだ方からメールを頂いたのですが、それが──今年3月10日で99歳のお誕生日を迎えられる石井桃子さんは、毎年桃の節句には大好きなこの折り紙でできたおひなさまを飾っていらっしゃるのですが、福音館で絶版になったことを大変寂しく思っていらしたところに、今回の私の記事をたまたま見て、「折りひな」が自費出版で発行され続けているという事実を早速ご本人にお知らせした──という内容だったことです。
私のブログの記事が、何十年も経て、田中サタさんの「折りびな」とその立役者でもある石井桃子さんを再び結び付けたという事実に、泣きそうなくらい感動しております。
(尚、メールして下さった方から、この話をブログ上で披露することは了承を得ています)
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Comments
とうとう届きましたね。丁寧なレビューありがとうございます。fumi_oさんの感激が伝わってきます。
このおひなさまの折り紙、正面からだけではなく、裏面から見てもちゃんとおひなさまになっているんですね。これほど見事とは。
折り方が難しい箇所もあるようですが、うちの娘もおひなさまの折り紙を折りたいと言っていることもあるし、ますますこの本が欲しくなってきました。
昨日、たまたま行ったホームセンターの文房具売り場できれいな柄の千代紙をたくさん見つけたので、「折りひな」を手に入れたらあそこのホームセンターへ、と目処をつけてます。
Posted by: uronpoi | March 08, 2006 at 17:45
お久しぶりです。
とってもキレイな本ですね。
近くの図書館にあるようなので、ぜひ今度見てみたいと思います☆
Posted by: うっし〜 | March 08, 2006 at 18:04
>uronpoiさん
ありがとうございます。
お嬢様も一目みたら、絶対気に入ると思います。
衣装を重ねていくという絵画的要素もあり、飾れるという立体的な要素もあり、本当にすばらしい折り雛です。
「三月ひなのつき」で主人公が目にしたのがこの段飾りかと思うと、感慨も一入です。
それから、もしおはがきで申込みされるのでしたら、本と折り紙のセットとか、本のみというように具体的に書いて申込みされた方がいいかも知れません。下記をご参照のほど。
http://www.origami.gr.jp/New/Meeting/0202/
Posted by: fumi_o | March 08, 2006 at 22:01
>うっし~さん
ご無沙汰して申し訳ございません。
PCの前にいても眩暈など、大丈夫なのでしょうか?
本当にタフなママですね。
先ほどサイトの方にもコメントしましたが、昨年ココログの新年会でお会いした時には全くその兆候もなかったのに、今現在、こうして3人目をご出産されていらっしゃるとは…本当に月日の経つのは早いですね。
どうぞご無理なさらずに、赤ちゃんとごゆっくりお過ごし下さい。
Posted by: fumi_o | March 08, 2006 at 22:05
追記の感動秘話を読んで鳥肌が立っております。偶然のようで、神がかった必然のような感じ・・・。
余談ですが、「折りびな」が世に出たのが1969年3月というのを見て、ああそうか、そうなんだ、と感動。僕が生まれて数ヵ月後に発行されていたんですね。fumi_oさんのこの記事に惹かれたわけが分かった気がします。(関係ないけど、石井桃子さんの誕生日が僕の母親と同じなのにもびっくり)
p.s.
注文の仕方の説明ありがとうございます。後ほど注文するつもりです。来年の桃の節句はお互い楽しみですね。
Posted by: uronpoi | March 10, 2006 at 04:04
>uronpoiさん
本当に不思議な縁を感じずにいられません。
石井さんの身近な方が当ブログを以前から読んでいたこともそうですし、uronpoiさんのお母様と石井さんのお誕生日が同じだったことも。
そして、全てのきっかけは、息子が入園した先の保育者が、この折り雛を気に入って大切に受け継いでいたということです。
今回ほど、自分がブログを続けていて良かったと感じたことはありません。
Posted by: fumi_o | March 10, 2006 at 20:34
こんにちは♪
“そのうちに・・・”と思っていたのですが、昨日近くの図書館に蔵書があるのが検索してわかってしまったので、いてもたってもいられず、幼稚園に長男を送りがてら、次男を連れて図書館へダッシュしてきました(汗;)。
大人の折り紙のような趣味のコーナーではなく、おもいっきり子供用の折り紙蔵書コーナーのほうにありました。合間をみつけて見て、こどもと一緒に(っていうか、そういう理由付けで)時間を見つけてまずは折ってみようと思います。
なんてステキなご本なんでしょう。
子どもだけの楽しみにしておくなんてもったいない♪
私もお手紙を出して、なんとかgetしようと思案し始めました。
ステキな本のご紹介、ありがとうございました☆
Posted by: うっし〜 | March 10, 2006 at 22:12
>うっし~さん
そんな、図書館へダッシュしてきましたって…絶句
凄いな~ 自分のときは息子の出産後は、酷い貧血でホント半年くらいヘロヘロだったのを精神力でカバーという感じて、ついに伊勢丹で倒れて医務室に運ばれてしまった経験もあったほどなのに…
お手にとって見ましたかー 良い図書館ですね。
図書館の本も、古くなると処分されてしまうのですが、残っていたのですね。
Posted by: fumi_o | March 10, 2006 at 22:51
作品も、エピソードも素敵…!
創作大好きなうちの子供、折り紙ももちろん大好きなのでこれを見たらきっと作ってみたがるだろうなあ。
我が家にはいわゆる雛人形がないため(某有名人形店でバイト経験あり〜業界のぞいた〜&場所が無い&買いそびれ…etc.)、毎年子供が持ち帰る園での作品でお祝いしております。
そんなわけで、来年は学校から持ち帰る事もないでしょうし(どうなんだろう)ぜひぜひ、我が家でも作って見たいなあと思いました。作れるのかしら。
今更ですが過去エントリを拝見し、「三月ひなのつき」も読んでみたくなりました。
ホント、見れば見る程、素敵なお雛様です。
Posted by: でりさ | March 10, 2006 at 23:23
>でりささん
ご無沙汰して申し訳ないですっっ!
この季節、子どものことでどうしてもバタバタしてしまい、未だに"アカペラ報告オフ会"もままならず…(涙
さて、今回このエントリーででりささんが「折りびな」に興味をもっていただけて、大変嬉しいです。
本当にどうしてこんな素晴らしい本を福音館は絶版にしたのか、理解に苦しみます。
Posted by: fumi_o | March 11, 2006 at 08:49
そうそう!!!
先日、2月27日の朝日新聞に『石井桃子さん現役で100歳!』という記事が載っていました♪下の方に福音館書店の広告が載っていたのですが、「みんな、この本で育った。そして、これからも。」という中に『三月ひなのつき』の本をみつけました。
『石井さん100歳記念フェア』として、各大手書店ではフェアを開催するようですよ。
とても100歳とは思えない素敵なお写真が掲載されていてビックリしました。3月15日までだそうですが、銀座の教文館・ナルニアの国のフェアがとっても充実していそうですよ。
Posted by: うっし〜 | March 05, 2007 at 11:13
うっし~ さん、ご無沙汰して申し訳ないです。
お子様たち随分と大きくなった事でしょうね。我が家も息子が今年入学です。(信じられなくてクラクラします (笑))
残念ながら、該当記事は未読でした。しかも、手元には3月1日分からの朝日新聞しか残ってなく、古紙回収にいってしまった模様。ううう…orz
『100歳記念フェア』はチャンスがあれば是非足を運ぼうと思います。
貴重な情報ありがとうございます。
Posted by: fumi_o | March 05, 2007 at 11:48