前回のエントリー(参照)では、科学技術館で私が見た米村傳治郎先生の「楽しい科学」の実験のほんの触りを紹介したが、今回はそのたった30分間に私が受けた先生の印象について述べたい。
先ずその前に── 先生は、(私が知らなかっただけで)本当は、都立高校教諭を退職後に独立。1998年に「米村でんじろうサイエンスプロダクション」を設立し、現在サイエンスプロデューサーとして、科学実験等の企画・開発、各地での実験教室・研修会・講演会などの企画・監修・出演、各種テレビ番組・雑誌の企画・監修・出演など、様々な分野、媒体で幅広く活躍中なすごい方なのだ。(※)
さて、「楽しい科学」の実験が始まると先生は先ず、風船ポンプでシャコシャコッとゴム風船を膨らませながら、「今日は何を見たいかな?」と笑顔で訊いて下さった。
すかさずその私を誘ってくれた友達ママが、クリスマス会で子供達にやって見せたいので、子供達が喜びそうなものを教えてほしい旨を伝えた。
それを受けて先生は、静電気を溜めるコツなどを、淡々と作業をしながら淡々と説明していった。
何回も強調されていたことは、使う道具に手の脂などが付着するのは厳禁。相当練習しないと成功しない。やってみて失敗した時は、その原因をきちんと突き止めて改善しない限り、何度やっても無理だ。原理を把握していなければ、何度やっても無駄だ。──ということだった。
数パターン、ゴム風船を使った実験を見せて頂いた後、私が「おっ!」と感動した実験があった。
ビニール紐を細く裂いた束をテーブルにぴたっと付着するまで、ウールのマフラーで何度も何度も擦った後、静電気を帯びたそのビニール紐を掴んでパッと空中に放ち、マイナス電気のゴム風船を近付けると(反発しあい)、ケセランパサランのように空中を漂ったのだ。

一瞬「これは(クリスマス会に)使えるっ!」とふんで、友達ママと目配せしたその次の瞬間、先生は
# 想像している分より10倍は、静電気を扱うことは難しいです。
と無表情に仰り、すっかり見透かされてしまっていたのさ。(汗、汗、汗
先生はテレビのバラエティー番組などにも出演していらっしゃるのに、一言で言えば"芸能ズレ"した雰囲気が全くなく、本当に"科学の料理人"という言葉がぴったりの、静電気の遊びびとという印象をもった。
最後に、私が読んだ本(実験見学後に1階にある売店で購入した)の中にあった先生のお言葉を紹介したい。(※)
「机上で考えるよりも、からだを使ったり、いろいろな人とのコミュニケーションの中からよいアイディアが生まれてくる」
「科学は遊びです。教科書には載っていないことを自分で考えて、モノを作ったり、いたずらをすることはすごく大事。昔は子どもならだれでもやっていたことで、失敗を重ねることで自分なりの工夫が生まれたり、無駄と思えるいろいろな体験ができたものです。それがあるとき飛躍する力となり、科学を生む源である創造力となるのです」
「このままほうっておいたら、創造力は貧弱になるばかり。積極的に大人が創造力を養う場を与えるべきなんです」
(※)米村傳治郎 監修、大沢幸子 著「おもしろ科学館」より